0. プロジェクトをはじめる前にやるべきこと
プロジェクトの成功を左右するのは、事前準備です。
事前のオーディエンス獲得に時間をかければかけるほど、成功しやすくなります。目安としては、少なくともローンチの数ヶ月前からプロジェクトをターゲット層にアピールし、集客していくべきでしょう。
「あなたのキャンペーンは Kickstarter に登録する前からすでに始まっているのです。プロジェクトを成功に導くには、あなたの作品を応援してくれる熱心なファンを事前に獲得しておくことが重要です。プロジェクトを立ち上げる前から、そういったファンとの関係を築いておくべきでしょう」
― Simon Tam (New Tour Bus for The Slants)
1. オーディエンスを意識する
まずは、以下について考えてみましょう:
- どんな人が、あなたのプロジェクトを支援してくれると思いますか。
- その人にとって、プロジェクトの魅力はどこにあると思いますか。
- そういう人と、どうすれば繋がることができますか。
想定した層が、なぜあなたのプロジェクトをバック(支援)したいと思うのかを考慮しながら、その心に響くプレゼン方法を検討しましょう。また、ただバックするだけではなく、周りにもシェアして支援を呼びかけてくれるほど熱意のあるファンを獲得できるようなアプローチが理想です。
まずは、ファンディングの礎となるオーディエンスにリーチしてみましょう。これは、初期段階からある程度の支援を見込める層であり、友人・家族・あなたのファン等といった人たちが該当します。
メールや電話等、直接的かつパーソナルな形で声をかけることで、より相手の関心を引くことができるでしょう。そこから、次はどうやってオーディエンスを広げていくべきか考えてみてください。
「大々的な宣伝よりもクチコミが断然重要だと思います。 人は、有名なインフルエンサーよりも身近な友人の声に耳を傾ける傾向があります。 私は、自分の作品や思考、仕事やプライベートの中で経験した面白いことを常に発信しています。Kickstarterプロジェクトを立ち上げると言えば、支援したいと思ってくれる人々が周りにいるのです。」
― Jake Parker (The Antler Boy and Other Stories, DRAWINGS)
「私たちは、プロジェクトのローンチから48時間以内にコンタクトをとるべきブログを150件ほど事前にリストアップしていました。各ブログをファッション、ロードバイク、テクノロジー、アウトドア等、それぞれのカテゴリーに区分けしてアプローチを行うことで、最も反響のあるオーディエンスをみつけることができたのです!
我々の場合、中でも一番成果があったのは、テクノロジー系ブログです(Engadget、Gizmodo、TechCrunch等)。最初からそういうブログにツテがあるわけではなかったので、当時は売り込みメールの送信とそのフォローアップにかかりきりでした」
― Kit Hickey (Ministry of Supply)
プロジェクトローンチ前に、メーリングリストの作成と、それに合わせてプロジェクト紹介用メールの本文、アップデートページの文章や画像といったコンテンツをなるべく余裕を持って準備しておきましょう。プロジェクトが公開されたら、ほかにやるべきことが沢山出てきてしまいます。事前準備を周到にすればするほど、プロジェクトの運営も楽になるでしょう。
「目標は、労力の90%を事前準備に費やすことでした。例えば、各種メールは数日前に作成しておけば、プロジェクトローンチ直後に送信ボタンを押すだけで済みます」
― Mike Del Ponte (Soma)
「ローンチ前に複数のメーリングリストを作成しておくと、後々大きく時間を節約できます。どの友人に紹介するべきか?興味を持って取り上げてくれそうなブログは?紙媒体は?なにより、どんな人がプロジェクトを口コミで広げてくれそうかを想定しておくと、大きな助けになります」
― Kirstin Hively (Project Neon)
2. メディアやブログにアプローチする
メディアやブログにアプローチする際は、ただ大手を選ぶだけではなく、自分のプロジェクトの内容にマッチしている媒体を探すようにしましょう。
アプローチをかける際は、なるべく早いタイミングでコンタクトをとったほうが効果的です。最初の食いつきがイマイチだと思ったら、いろいろな方法で多角的にアプローチすることも大事です。
「私のプロジェクトのプロモーション方法は単純です。まず、自分のプロジェクトに関連したトピックを取り扱っている、影響力のあるサイトを探します。そして、そういったブログ、雑誌、新聞などに個別にメールし、 それぞれの媒体がもっとも興味を持ちそうな要素を強調してアピールします。長年愛読しているブログにメールすることもあるので、そのブログの昔の記事に言及したり、パーソナルタッチを加えた文面を考えるのも楽しいです。
重要なのは、闇雲にメッセージを乱発せず、節度を持って行動すること。目標は、編集者やインフルエンサーに あなたの作品に興味を持ってもらうことであって、あらゆる大手ブログにスパムを送ることではありません。たとえ大手でも全く専門外のブログにたくさんの記事を書いてもらうより、プロジェクト内容に見合ったブログにひとつの記事を書いてもらうほうが、1000%効果的です。ただ見てもらうだけでは駄目なんです、関心を持ってもらわないと!」
― Craig Mod (Art Space Tokyo: iPad Edition + Hardcover Reprint)
過去にメディアに取り上げられた経験がない場合、そういった実績のあるクリエイターより時間と労力を要するかもしれません。アプローチをかける際は、そのブログや媒体の読者層のニーズにマッチした、ライターにぜひとも取り上げたいと思わせるようなメッセージ性を心がけましょう。
「まずは、小規模なブログへのアプローチから始め、キャンペーンが進行するにつれて、大規模なところに移行しました。自分のものと似通った過去のプロジェクトをリサーチし、どのブログに取り上げられているかを見ることで、適切なアプローチ先を見つけることができたのです」
― Brian Foo (Cities of You: Volume 1, Continuous City)
「ブログ読者の興味を引くポイントが必要です。ただ取り上げてほしいとお願いするだけでは駄目なのです。もちろん、あなたのプロジェクトはあなたにとっては特別なものでしょう。でも、資金が集まる前から、他者にもたらすことのできる価値はありますか?例えば、イラスト等の作品を先行公開したり、イベントを企画することを考えてみてください」
― Aaron Rasmussen (Mr.Ghost: iPhone EMF Detector)
「プロジェクトを取り上げたいというブロガーと繋がることができたら、次にすべきことは、ブログ読者とあなた、双方にとって価値のあるブログ記事づくりに協力することです。最初にアプローチをかけるブログを少数に絞るメリットは、各ブログの発信スタイルや方向性を深く理解できることにあります。この知識があれば、それぞれのブログのニーズに応じて異なるアピールポイントを売り込むことができるのです。
Kickstarter の利点は、ブロガーがプロジェクトを取り上げるにあたって必要な情報、そして高画質画像や動画の埋め込みコードなどといったコンテンツが、プロジェクトページから一括して確認できることです。当時私達は、事前にメディア専用ページを設け、プレスリリースを配信したのですが、今思えば、対価に見合わない労力だったかもしれません。DropBoxに高画質な写真をアップロードして、プロジェクトのポイントを5つほど箇条書きにしてメールで送ってしまうだけでも充分だと思います。とにかく、ブロガーが記事を書きやすい形でコンテンツを提供することを優先しましょう。」
― Mike Del Ponte (Soma)
いかがでしたか?
プロジェクト作成の流れについて詳しく知りたい方は、クリエイターハンドブックをご一読ください。他に分からないことがあれば、お問い合わせください。